副鼻腔炎はまず内服薬や点鼻薬を用います.しかし改善が望めないときには手術によって改善する可能性があります.
どのようなときに手術がすすめられるか
- 月単位(通常3〜6ヶ月)で内服薬を使用したが改善しない場合
- 月単位で内服すると改善するが,再度悪くなることを反復している場合
- ポリープが多発していたり,腫瘍や真菌が原因となっている場合
どのような手術を行うのか
当院では顔に傷がつかない内視鏡下副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery:ESS)といった方法で手術を行っております.
口や額を切るような手術は現在行われることは稀です.(もちろん病気のタイプによってはその手術が良い場合があります)
内視鏡下副鼻腔手術とは
みなさんは4つの副鼻腔をもっています.副鼻腔炎になった場合,その内部にポリープや膿が溜まります.
手術では副鼻腔同士を1つの空間(単洞化)にして,内部の病変を清掃しております.
4LDKのマンションを1ルームに改築して,中にある粗大ゴミを運び出すリフォーム作業だと思っていただければわかりやすいかもしれません.
術後について
なるべく術後の通院回数が少なく済むようにしております.
術後経過が問題ない場合の術後診察について,一例を下記に示させていただきます.
なお,必要に応じて鼻中隔や下鼻甲介の手術も同時に行っております.
- 手術後直後(翌日〜2日後)
鼻の中の止血用詰め物を抜きます.昔ながらのガーゼよりも鼻内で癒着が少ない資材を使用しており,痛みを和らげる工夫をしております.詰め物を抜去した日もしくは翌日から1日3回程度の鼻洗浄を行っていただきます. - 手術後早期(1〜2週間後)
副鼻腔の清掃を行います.内部にたまった血や滲出液(組織からにじんでくる液体)を外来で吸引して除去します.
鼻中隔や下鼻甲介の手術を行った方は,鼻内の抜糸を行います.場合によりシリコンの板を固定のため入れておりますので,そちらを外来にて抜かせていただきます. - 手術後安定期①(1〜11ヶ月)
傷口が落ち着いているかの定期診察です.紹介元の先生がいらっしゃる場合には,定期診察は紹介元の先生で行っていただくこともございます.
傷口が問題なければ最初は1ヶ月ごと,徐々に感覚を上げて3〜6ヶ月ごとに診察を行います. - 手術後安定期②(1〜2年)
好酸球性副鼻腔炎でない場合には,問題なければ2年間で終診とさせていただきます.
好酸球性副鼻腔炎や似た系統の病気の場合は,安定していれば3〜4ヶ月ごとですが長期にわたって経過をみさせていただきます.
紹介元の先生がいらっしゃる場合には術後の定期診察をお願いする場合もございます.