当院では鼻,耳の病気に対して日帰り手術を行っております.
鼻の手術は,ほぼ全て内視鏡で行います.
耳の手術は,顕微鏡中心で内視鏡を補助的に用います.耳の後ろに隠れる部分を2〜5cm切開します.ほとんど傷は目立ちません.
鼻づまりに対する手術
- 鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔手術1型)
鼻づまりの場合,左右の鼻を分ける鼻中隔が曲がっていることがあります.これを鼻中隔弯曲症といいます.鼻中隔弯曲症は骨折と同じで,薬物では治りません.
この場合は手術により曲がっている部分を取り除く必要があります.
手術時間は30分程度ですが,軟骨と骨の接合部を切断して再度縫合しなければならない場合は,90分程度かかることがあります.
(Hemitransfixtion incisionによる前端矯正術) - <手術のイメージ>(山形県立中央病院 二井一則先生によるシェーマ)
右向きの鼻中隔湾曲を認めます。 - 鼻中隔粘膜と軟骨・骨を剥離しました。
- 弯曲部位のみ除去しました。
- 右鼻腔が広がったのがわかると思います。
- 粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術1型)
下鼻甲介の骨が厚い方は,前述の粘膜に対するレーザー手術では十分な効果が望めない可能性が高いです.そのような方には下鼻甲介の骨を除去する手術を行います.片側20〜30分程度です. - <手術のイメージ>(山形県立中央病院 二井一則先生によるシェーマ)
- 下鼻甲介骨が張り出しており、鼻閉の一因となっております。
- 下鼻甲介粘膜と骨を剥離しました。
- 下鼻甲介骨を切除しました。
- 切開部を縫合しました。鼻腔が広がったことがわかります。
アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎などの難治性鼻炎に対しての手術
- 選択的後鼻神経切断術
十分な薬物療法,レーザー焼灼術でも効果が望めない場合に行います.
鼻汁を制御している副交感神経や知覚神経を切断することで,鼻汁量を減少させます.
ただし効果は永続的なものではなく,長期的に見ると症状が再発することもあります.片側30分程度です.
副鼻腔炎に対する手術
- 内視鏡下鼻・副鼻腔手術
副鼻腔に炎症を起こして薬物療法でも十分に改善しない場合や,副鼻腔炎を反復する場合に行います.副鼻腔内部の炎症がある組織やポリープを除去することで内部の粘膜を正常な状態に導きます.重症度により手術の内容が異なります.片側30〜90分程度です.
重症度に応じて手術内容が4段階に分かれます.どのような手術になるかは院長に受診時ご相談ください. - <手術のイメージ>(山形県立中央病院 二井一則先生によるシェーマ)
- 左副鼻腔に炎症があります。
- 以前行われていた方法は頬から内部を清掃します。
- 今は鼻の穴から器具を入れ病変のみ除去します。
滲出性中耳炎に対する手術
- 鼓膜チューブ挿入術
鼻と耳をつなぐ耳管の換気能力が悪くなると,鼓膜の奥に水が溜まり,聞こえが悪くなります.適切な治療を行ったにも関わらず,滲出性中耳炎の状態が続いた場合に鼓膜を通して換気能力を改善させます.
長期間チューブを留置していると,鼓膜の穴が残ることがあります.その場合は鼓膜形成術をおこないます.
局所麻酔で10分程度で終わります.
慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対する手術
- 鼓膜形成術
中耳炎を反復し,慢性的に耳だれが出て鼓膜に穴が残っている状態を慢性中耳炎といいます.鼓膜やその奥にある音を伝える耳小骨に異常がない場合は,鼓膜のみを閉じる手術です.
局所麻酔で60分程度です. - <手術のイメージ>(山形県立中央病院 二井一則先生によるシェーマ)
- 正常な鼓膜と耳小骨の状態です。
- 鼓膜に穴が空いている慢性中耳炎の状態です。
- 穿孔を自己組織で修復しました。
- 鼓室形成術
鼓膜がほぼ全周にわたり消失している,穿孔の裏側に鼓膜の組織が入ってしまっている,音を伝える耳小骨が硬くなっている,もしくは消失している場合に行う手術です.音のつながりを再建する場合はセラミックの人工耳小骨などでつなぎなおします.局所麻酔で90〜150分程度です. - <手術のイメージ>(山形県立中央病院 二井一則先生によるシェーマ)
- 残存している耳小骨と人工耳小骨を用いました。
- あぶみ骨底しかない場合は、直接人工耳小骨をのせます。
- 乳突削開術
広範囲に真珠腫が進展している,もしくは抗生剤が効きにくい細菌による感染である場合におこないます.局所麻酔で45分程度です. - <手術のイメージ>(山形県立中央病院 二井一則先生によるシェーマ)
- 正常な中耳と乳突洞のモデルです。
- 乳突洞に病変がある場合に、その部位をドリルで削除します。