コロナ感染後1ヶ月以内の方には,嗅覚検査を行っておりません.ご了承ください.

当院では2021年4月の開院時から嗅覚障害の診療を行っておりました.コロナウイルス感染後の方が増えて嗅覚障害や味覚障害を発症した患者さんからの問い合わせが増えてまいりました.

患者さんからの声にお応えするため,2021年9月より嗅覚外来を開始いたしました。

嗅覚外来は一般診療時間内に行っております.

嗅覚障害,味覚障害受診のタイミング(特にコロナ感染後の方)

発症後2週間以内の方へ 

当院で行える検査はコロナウイルスの検査のみです.コロナウイルス感染後の嗅覚・味覚障害の多くは,発症後4週間程度で改善するという報告がありますので,ご自宅で1ヶ月間様子をみてください.

発症後2〜4週間の方へ

コロナウイルス感染後の嗅覚・味覚障害の多くは,発症後4週間程度で改善するという報告がありますので,ご自宅で1ヶ月間様子をみてください.1ヶ月経っても改善がみられなければ,受診予約をしてください.

発症後1ヶ月以上経過した方へ

他院での陽性検査結果(検査日時など)を受診時にお伝えください.

検査内容について

嗅覚障害に対しては,初診時に問診票,CT,ファイバー検査,2種類の嗅覚検査(静脈嗅覚検査,標準嗅覚検査),味覚検査(全口腔法による味覚検査),匂いに関するアンケートを行います.

2回目以降の診察では,アンケートと数ヶ月ごとの標準嗅覚検査を行います.

明らかな味覚障害がある方は,味覚に関する採血と2種類の味覚検査(電気味覚検査,全口腔法による味覚検査)を行います.

検査費用について

処方された薬代を除き,初診料含む金額は以下の通りです(3割負担の医療費の方).

嗅覚障害8500円程度,嗅覚味覚障害11000円程度.

1ヶ月ごとの再診時は500円程度,3ヶ月に一度検査を行うとその検査代金が追加されます.

(標準嗅覚検査1350円,味覚検査900円)

治療内容について

感冒後嗅覚障害に準じて漢方薬(当帰芍薬散や人参栄養湯)をベースとして嗅覚刺激療法(Effects of olfactory training in patients with olfactory loss 2009 Hummel ら)のリハビリテーション指導を行っております.

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が原因となっている場合には,そちらの治療も行います.

味覚障害に関しては,原因に応じた治療を行っております.嗅覚障害に伴う味覚障害(風味障害)である場合には嗅覚障害の治療を行っていきます.

最新の知見について(随時更新)


新型コロナウイルス感染症による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、 予後の 解明に資する研究 厚生労働科学特別研究事業 (金沢医科大学三輪高喜教授 2020年)

嗅覚障害を自覚する例の多くが嗅覚検査でも正常値以下を示したが、味覚障害を自覚する例の多くは味覚検査は正常であった 
多くの味覚障害例は嗅覚障害に伴う風味障害の可能性が高い

1か月後までの改善率は嗅覚障害が60%、味覚障害が84%であり、海外の報告ともほぼ一致する 
⇒味覚障害、嗅覚障害の症状はコロナウイルス感染症の治癒に伴い、大凡の人で早急に消失する

Olfactory and gustatory dysfunctions as a clinical presentation of mild-to-moderate forms of the coronavirus disease (COVID-19): a multicenter European study(Lechien ら 2020)

中等症以下のCOVID-19患者417名(男性:女性=154:263)を調査した.
嗅覚障害を85.6%、味覚障害を88.0%(両者は有意な相関あり)に認めた.
他の症状に先行した嗅覚障害を認めた例は11.8%であった.
嗅覚障害が早期に回復したのは44.0%であった.
女性の方が男性よりも嗅覚・味覚障害が多かった.

Olfactory Dysfunction in COVID-19Diagnosis and Management
(Katherine とHummel 2020)

1.covid-19による嗅覚障害が2週間以上持続した場合,治療を検討してもよい.
2.感冒後嗅覚障害に準じた嗅覚刺激療法(少なくとも3ヶ月以上継続する)は低コストかつ副作用がないため検討してもよい.
3.covid-19感染後嗅覚障害への治療として嗅覚刺激療法は補助療法として有用と考えられるがまだ有効だとエビデンスには乏しい.