6月の埼玉県地方部会で,当院での慢性中耳炎への治療戦略を発表しました.
まず大事なことは諦めないこと
患者さんとお話しして,「これは治せますよ」と伝えると
「今まで見てくれた先生は手術は難しいと言っていた」
「もう年だから手術はいいんじゃないかと言われた」
「手術をしなくても補聴器を使えばいいと言われた」
などさまざまなお話を受けた旨をお聞きします.
鼓膜に穴があり,不自由を感じている場合には,塞ぐ意味があると我々は考えております.
鼓膜に対する手術は,3つの術式で行っております.
1.鼓膜穿孔閉鎖術→成功率70〜80%
2.鼓膜形成術→成功率96%**
3.鼓室形成術→成功率100%**
*成功率は,東京女子医科大学足立医療センターでのデータ
**経過中に小さな穴が空いた場合には,術中にとった自家組織をつかって外来で閉じることができます.
なるべく自施設で行っております.ただし診察の結果,難度が高いと考えられる症例や複数回手術を受けているような症例は,東京女子医科大学足立医療センターにて顧問を務めていただいている須納瀬弘教授と共に手術を行っております.
治療方針は明確にすべきである
手術の術式選択についても,ある程度明確にしております.なるべく低侵襲な術式を選択しておりますが,確実に治せるやりかたを優先して行っております.